瓦(かわら)そばとは、山口県下関市発祥のご当地そば。熱した瓦の上に茶そば、牛肉、錦糸卵やレモン、などの具材をのせて、温かい盛りつゆにつけて食べる郷土料理です。瓦で焼く、パリパリになった茶そばもは香ばしくて美味しいと、長らく郷土料理として旅館などで提供されていた。
しかし、2016年放映の人気ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』の中で新垣結衣と星野源が、家庭で瓦そばをフライパンを使い、一緒に作るというシーンもあり、東京で食べられる瓦そばのお店など、若い人に人気のスポットとなった。
明治10年西南戦争の頃、薩摩郡の兵士たちが、野戦の合間に瓦を使って、野草、肉などを焼いて食べたのが始まりとされている。戦争中には、至る所、崩壊した建物があったはずだ。その屋根瓦をつかってフライパン代わりにして、いろいろな食材をのせて熱処理をし、飢えを凌いだとされている。
瓦は陶器であり焼き物である。1200度もの焼きを入れるコトで、その陶器は丈夫になり、その素材は、分子レベルで引き締まるのです。屋根瓦である以上、酸性雨にも、風速40mの台風にも、塩害にもへこたれない脅威の耐久性を持っているのは言うまでもありません。
仮に鉄板を熱した時に、熱伝導率が高い鉄のほうがすぐに温まるのだが、そこにのせた食材はすぐに焦げ付き、食器として出す場合であっても表面だけ焼けている状態になってしまう。かつ、冷めるのも早い。瓦を熱した場合は、適切にできた内部の空気層により、遠赤外線効果が望め、じっくりと芯から食材を温め、食べ終わる最後の最後まで、しっかりと保温してくれるというメリットがある。
つまり、電気保温器具が無かった時代の、兵士たちの胃袋を支えたホットプレートであったのだと思われる。