山形名物 板そば とは
山形県村山地方の農家では、元禄の時代から、収穫祭にそば振る舞いをするならわしがあり、大勢の人が集まりつつきあうのに適した、木製の密閉容器が今の板そばのルーツとなった。
また、一説によれば、人のご縁を締めたてのそばから垂れる水に見立て、その水がこぼれてしまうざる盛りは縁起が悪いとされ、木箱に盛ったとされる説もある。
単なる験担ぎではないという理由が昨今、話題となっていることがあり、あまりに早い水捌けの良いざる盛りでは、すぐにそばが乾き風味が落ちてしまう。卓に運び最後まで美味しく食べられる水分量は、木箱にのせたそばの方が優れていると科学的根拠もあるようだ。
名産とは言え、盛る器の特徴でありそば自体の特徴はどうなのだろうか。
山形のそばは、いわゆる『田舎そば』
実を挽く時に殻まですり合わせることで、少し黒い粉に仕上がる。これを打ち、そばとなるとグレー色のそばができあがるが、一般的に白っぽいそばを江戸そば、黒っぽいそばを田舎そば などと称することが多い。
山形の田舎そばは、噛めば噛むほど味が出てくるような太めのざらついたそばが多く、喉越しを楽しむ江戸そばとはまったく正反対な食感や愉しみがあるのではないかと思う。
板の形状
板の素材自体は、ひのきもあれば杉や、ひば、竹など多種多様だが、ここで言う板そばが、ざるではないもの と過程するならならば、ならわしに則った考え方で盛り容器を選定する必要性があるだろう。
寿司屋のようなまな板盛りや、一枚板にうるしを塗った板盛り、漁師町などは豊漁を託して舟盛りにしたりするところもある。(舟盛りに関してはメガ盛りの象徴として都内などで販促の仕掛けとして出す店が多い)これらを一緒くたに山形の板そばと呼ぶわけには行かないが、みんでワイワイガヤガヤとそばをつつき合う楽しみは変らないであろう。
ただ、一番右の写真にある竹盛りそばに関しては、個別の容器というスタンスがあるので、板そばと呼ぶには無理があるであろう。