温かいかけそばの上に卵白を泡立ててメレンゲにしたものをのせる種物であるが、そのままでは生臭く、磯の香りが強い海苔を揉み細かくしたものをのせ食すのが泡雪そばと呼び、諸説あるが江戸時代の江戸が発祥とされる。
泡雪・淡雪と読みは同じものの漢字が違うが指し示す由来は、春先に思いがけず雪が降り、膨らみかけた木の芽やつぼみをふっくらを白く包み込む様から、趣きのある言葉が生まれた。
この泡雪を表現すべく、江戸時代から山芋をすりおろしだし汁で煮、ふわふわとさせ豆腐の上にのせて食べる泡雪豆腐が有名であったこともあり、それをそのままそばにかけるのは容易だったと考えている。このことは池波正太郎作の鬼平犯科帳の中にも登場し書かれている。
そうした季節感のある言葉を使うそばでもあるので、旬な時期が存在し、春先でまだ朝晩は肌寒い時期の季節限定メニューとして、今でも東京のそば店で、各店嗜好を凝らしたアレンジ泡雪そばを食すことができる。